製作物たち

苦労するレザートン塗装 ~品質管理と生産調整の試行錯誤~

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以前ブログで、板金塗装としてレザートン塗装と半艶塗装の話題を出しました。
--->「板金塗装 レザートン塗装と通常の塗装の違い

この時は、塗装の違いについて語りましたが、今回は「苦労するレザートン塗装」と題して、レザートン塗装の品質管理についてみていきましょう。

レザートン塗装の品質管理

塗装の品質管理において、不良となり得る項目は概ね以下です。
 ・色ムラ(均一な色でないことが明らかに見てわかる)
 ・塗装されていない箇所がある
 ・異物混入

ベースの板金自体に傷、変形があると、塗装自体には問題なくとも、塗装不良の様に見えることもあります。
見る角度を変えると均一性が無いように見えたり、、、。

弊社では、サンプル依頼を掛けて、工場の品質管理能力と製品の不良になりやすいポイントを確認します。この時点で工場が苦労する点を共有した上で、一緒に解決できる方法を模索する感じです。
この時点で最も重要なのは、お客様からの依頼品の場合、お客様が「了」とされる基準を事前把握しておくことです。
自身がOKと思ったからOKではなく、納品先のお客様やユーザーがOKを出してくれるのか?が品質管理で迷った時の指針です。

サンプル製作の時点で、一方通行な品質基準書の提示はしません。
理由は、厳しいほど品質が良いことになり、製作側が製造できない基準になっていることを嫌ってのことです。
逆に、何も提示しないと「品質基準無し」になっても困りますので、製作図面提示のタイミングで、簡易資料を出して、品質程度の概略認識を合わせます。

出来上がったサンプル品を確認し、各社が「了」と出来る基準であれば、量産製造へ移行できるものとなります。この時点で、少なくともサンプル品と同じ品質感であれば、問題はないわけです。このサンプルを限度見本としたり、サンプル製造工程で洗い出しされた内容を書面化する事で具体的な品質項目を設定します。

それでも量産すると問題は出る

そうは言えども、ものづくりの難しいところで、量産時はサンプル品と同じ品質感が保たれない要素が色々出現してきます。

例えば、近所の工場から出た加工剤(目に見えない細かさ)が風で飛んできた結果、塗料に混ざってしまったとか。

塗装を乾燥させる工程で、複数台並べて置いたものの、置き場所によって乾き度合いが異なり、一部乾かないまま出荷工程に回してしまい、数台塗装不良になったとか... etc

以下の画像は一部の不良写真です。
赤囲み部分に白いモヤの様なものがあります。出荷前には綿手袋を装着し、表面の汚れを拭き取りながら最終目視チェックを行いますが、何度拭いても綺麗にならずNGとして選別をします。

赤枠内に白いモヤの様なもの

こちらは、側面に擦れた後の様なものがあります。
これも拭き取っても綺麗にならず、 NGとして選別をします。

側面に白い擦れ後

ご紹介したのは一例ですが、製造時期に関わる要因(季節だったり)によっても、発生有無があったり、目に見えない全ての要因をコントロールする事はできないので、安定的な均一環境で毎回製造を行い、同じ品質を担保出来る様に配慮を行うのも、我々の仕事の一つとなります。

品質責任を工場だけに課して後は知らぬというのは、弊社のスタンスではありません。「良いものを一緒に作りましょう」という言葉の裏には、たくさんの苦労が存在するということです。

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