市場に出回っている半導体が本物か偽物かなんて、考えたことも無い方が多いかもしれません。
実は、本物よりも高度な偽物が意図も簡単に製造されています。
特に、中国の長安という地域には模倣品デバイスの製造拠点が集まっていることは有名な話です。
メーカー仕様書と違うMAX30102
MAX3102と検索するとAnalog Devices(旧MAXIM社)の心拍センサーがヒットします。
内部にIR LEDとRED LEDの2種のLEDが内蔵されており、酸素濃度や心拍を計測することが可能で、用途に応じてLEDの照射制御を行う必要があります。
市場の全てのモジュールを調査したわけではありませんが、以下の画像のモジュールは正規メーカー品の構成とは異なります。
より具体的には、IR LEDとRED LEDの制御対象レジスタが、正規デバイスに対して入れ替わっています。
対象レジスタとしては、Mode Configuration (0x09)、LED Pulse Amplitude(0x0C,0x0D)に設定する値が逆になっています。IR LEDを制御したいのでIR に関わる設定を行うと、RED LEDが点灯しますし逆も然りです。
今のところ、他のレジスタについてはこの様なズレは無さそうです。
正規品であれば仕様書記載通りの動作なのか?
メーカー正規品を入手し、同じ回路にて制御を行いましたが、正規品は仕様書記載のレジスタへ設定を反映すると意図通りの動作をします。
故に、上述のモジュールに搭載されたデバイスと正規品デバイスでは、同じ回路・同じファームウェアで制御をすると、点灯するLEDが異なることが確認できています。
[番外編]デバイス挙動差異
別のデバイスになりますが、LEDについてもおかしな動きをするものがあります。
SMTL6-RGB Bivar社のRGB LEDですが、仕様書には1pinがBLUE、5pinがGREENと書いてあります。
実際に購入したLEDは、1pinがGREENで5pinでBLUEでした。
つまり、BLUEとGREENが仕様書と現物で逆になっています。
このLEDは正規ルートで購入をしたのですが、素性を詰めていくと・・・。
「今回の製造LOTは点灯色が入れ替わって投入された」という見解でした。
いやいや。書面が間違っていました。すみません。の方がまだ良かった。
書面は属人的要素が絡むので、百歩譲ってもミスは無くせない。
製造されたデバイスに問題があると、製造工程どうなってるの?
メーカーは出荷前に動作チェックをしないのか?
品質管理を行うQC工程は存在しないのか? etc...と言いたいことがたくさん出てしまう。
プロダクト製品は完ぺきではない
皆さんが家電量販店で購入される製品は、残念ながら完ぺきではありません。
しかし、メーカーや開発会社は不良や問題が発生しない様に、日々努力と管理を行っているので、表立った大きな問題になっていません。
市場に求められるのは、この大きな問題にならない「当り前さ」ではあるものの、製品を構成している一つ一つの部品にも予期せぬ不良や問題が存在していることを知って頂くと、各社の結晶が製品なのだということがご理解頂けるかもしれません。