機器内の空間温度測定や、そこそこ高精度で広範囲な温度測定で使える。10mV/℃という分解能で、-40℃~+125℃まで測定可能な温度センサー。電源2.7V~5.5Vで動作するチップタイプなので、電池機器製品の基板空きスペースに実装する事で、場所を問う事なく使える。デバイスのVoutから温度に応じたアナログ電圧が出力されるので、マイコンが無くとも大雑把に見る事ができるのも有り難い。とは言え、折角の高精度センサーなので、マイコン搭載機器で、コストを掛けずにもう一機能を追加してみたい時に、威力を発揮するデバイスとも言えそう。
現在、Dlrow Designでは、動物の行動監視を行う機器開発をしており、現場検証中のものがある。所謂、IOT機器になるのだが、屋外で使用される為、寒暖測定をしておきたい事から当該温度センサーを入れた。温度センサーは色んな種類があり、システムに応じた採用を検討して頂きたいが、I2Cインタフェースが不要で、アナログ電圧で制御を掛けたいシステムには、TMP36FSは一つの選択肢として有りだと思われる。
このデバイスを採用する上で、仕様書を見てもアナログ電圧と実温度の相関が分かりにくいのだが、よくよく仕様書内を確認して少し配慮をすれば、十分に読み取ることができる。具体的には、以下の特性表赤枠内に、25℃での出力電圧値が書いてある。
TMP36の場合、25℃で750mVとなっている。分解能は10mV/℃なので、1℃の増減で10mV増減する。デバイスの測定レンジが-40°~+125°の温度範囲(TMP36のみ)なので、100mV~1750mVの出力電圧範囲となる。
これが分かれば、マイコンでもアナログ回路でも十分に使えるデバイスとなるのではないだろうか。
温度センサーを採用する場合、要求仕様としての温度範囲、精度、システム回路が求めるインターフェースを確認しておく必要がある。